マルタイの女


1998/4月某日(レンタル・ビデオで鑑賞)

点数:★★


遺作になってしまいました。テーマ性の強い作品を作り続けてきた監督だけに、自殺のニュースが残念でなりませんでした。

さて、作品ですが。

殺人事件の犯人を目撃してしまった、女優ビワコ。唯一の目撃者たる彼女を護るため、警視庁は2名の刑事を派遣した。保護対象=マルタイとなった彼女が、カルト宗教団体の妨害行為と戦いながら、証言の日を迎えるまでの日々を描いています。

で、結論から言いますと………残念ながら、失敗作です。

まず第一に、伊丹作品の大きな魅力である“視点の意外さ”とか“着目点の面白さ”がまったくありません。殺人事件、カルト宗教、女優、スキャンダル、証人保護。いずれも派手な題材であるだけに、フィクションのネタとしては手垢がつきまくっています。実際、この映画を観て“へぇ”と思ったことといえば、警察が保護対象を“マルタイ”と呼ぶという、その1点だけでした。

企画に三谷幸喜を参加させ、西村“今泉”雅彦を起用しておきながら、良い作品を作ることができなかった。監督本人としても、やり切れぬものがあったのでしょうか。


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