雪の魔女の洞窟ネタバレぎみコメント

「雪の魔女の洞窟」はそもそも元のゲームブックからして強引なつくりになっております。というのもこのゲームブック、最初は雑誌に掲載されたもので、雪の魔女を倒すまでの前半部分だけで完結していたのです。で、そのあと本として出版される際に後半を書き足したものだから、以降の展開がかなり御都合主義といいますか理不尽と言いますか、大変なことになっているのです。

まあそれでも、ゲームブックならかまいません。何度も何度も死んでは再挑戦をくり返すのが前提なのですから。また話の展開の強引さも、もともと2、3の選択肢から1つを選んで進んでいくゲームブックでは、さほど気になることはありません。

んが。

それを「そのまんま」TRPGのシナリオにしてしまうのは問題です。

まさかD&DのシナリオでコンシューマRPGのような「カットシーン」を見せられるとは思いませんでした(^_^;)

ドワーフのローグが石工の勘でダンジョンを調べながら進み、変わった様子の部屋があればウィザードがディテクト・マジックのワンドを使う。論理的な判断がつかない場合にはクレリックが占術を使って天界から指示をあおぐ。

PCたちが頭を使い、持てる能力を駆使して危険を排除しているというのに、おもむろに隊列の後ろから歩き出て、いかにも怪し気な張り紙を読み出すNPCエルフ! そしてパーティ全員が死の呪いの対象に!

やってられっけー!(ドンガラガッシャン)

はたまた、死の呪いに侵されて先を急いでいるのに、道ばたの木の上にある小屋によって平和に暮らしているハーフオークをぶち殺し、そこにある何の変哲もないロウソクを奪っておかないと、後のイベント(失敗したら即死)で要求される判定の難易度が10くらいキツくなるとゆーのはいかがなものか(笑)

それ以外にも、PCたちの方が〈視認〉も〈聞き耳〉もはるかに高いのに、野外の遭遇では必ずNPCエルフが最初に敵を発見することになっていたり。

雪崩や落盤のイベントで、おもむろに1回だけ〈平衡感覚〉技能判定を要求され、失敗すると即死だったり(DMGにあるルールを使おうとは思わんのか)。フル・プレートを着た8レベルのファイターやクレリックって、たいがい〈平衡感覚〉の修正値はマイナスに突入しているんですが。

D&DなんだからD&Dらしく処理してくれ……………

ゲームバランス的にもいろいろ言いたいことはあります。日記に戦闘は比較的楽勝だったと書いていますが、それはバブリーな装備をしたパーティだったからで、通常の8レベル・パーティ(や9レベル・キャラクター)ではどうやっても勝てなさそうな遭遇がまじってます。

雪の魔女、二回目の対決ではダメージ減少20/+4とか持ってるんですが、このレベルのキャラクターに+4の魔法の武器を要求するのですか? それともネックレス・オヴ・プレイヤー・ビーズでブーストしたグレーター・マジック・ウェポンがデフォルトなのですか?

ちなみに直接対決を避けようとすると、3種類の金属板を使ったジャンケン風のゲームを要求されます。なにせジャンケンだからノーヒントです。しかも途中で拾い損ねた金属版があると、そのマークは出せません。

ジャンケンに負けるたびに難易度25の頑健セーヴを要求されて、失敗すると即死です。しかも2回勝つ必要があり、1回勝ったあとは「アイコだと雪の魔女が勝ち」という理不尽なルールが追加されます。

いやまあ、確かに一応犠牲者なしでクリアーできたわけですが、このシナリオ、あらかじめ「ゲームブックのシナリオを遊ぶ」というネタだと納得尽くで始めなかったら暴れてるよなあ………

ある意味イアン・リビングストンのゲームブックの理不尽さを完璧に再現しているのですが。

ごく普通にD&Dセッション用のシナリオを遊びたい場合にはお勧めしません。少なくともイベントや展開に大量の変更を加えない限り、DMがプレイヤーから身を守る必要性が出てくるでしょう。

以上、d20版「雪の魔女の洞窟」に関するネタバレぎみコメントでした。


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