アザール・クルの死に呼応して出現したアスペクト・オヴ・ティアマト（ティアマトの影）

しかし竜魔王アザール・クルが死んだからには、もはやアヴェルヌスへのポータルは開かれません。

アスペクトが数時間〜数日しか物質界に存在できないと判った以上、三十六計逃げるにしかず。背後からブレスを吐きかけられながらも縦穴に飛び込んで、そのまま寺院を脱出。後はアウルに乗ってまんまと逃げおおせました。

アスペクトはティアマトの怒りの体現として数日間竜煙山脈を荒し回り、残っていたゴブリン類部族や命からがらブリンドル戦から戻って来た赤き手の残党を誰彼かまわず殺戮した後、分解して消えて行きました。

こうして数十年をかけたタイアガランとアザール・クルの野望は瓦解し、赤き手の群は地上から消え去ったのです。エルシア谷は救われ、ドレリンの渡しを始め各所から東方に避難していた人々も徐々にもとの暮らしに戻り始めました。

PC一行はエルシア谷の救世主としてブリンドルで大歓迎を受け、どこの酒場に行こうが宿屋にとまろうが、英雄たちから代金を受け取ろうなどという者はいません。街は何日にも渡って戦勝の祝いに明け暮れ、その間にもデノヴァー方面に逃れていた市民たちが帰って来て、街に活気が戻ります。

さてさらに数日後、冒険者一行はジャルマース卿の招待を受け、再び行なわれた祝賀会に参加します。その場で「エルシア谷の7英雄」と讃えられた各人は、それぞれ専用にあつらえられた贈り物を受け取ったのです。

長い戦いは終わり、エルシア谷の平和は守られました。

しかしこの世界にはまだまだ強大な悪が潜んでいます。英雄たちの戦いに終わりはありません。

彼らの冒険はまだまだ続いていきます。

でもそれはまた、別の日に語ることといたしましょう………

『赤い手は滅びのしるし』

完